それほどの温もりを感じられなかった朝の陽光が、
「立春」という言葉を聞いた途端に温かく感じられるから
不思議だ。
  
生垣のツツジの葉の緑の手前に陽だまりがあった。
すっぽりと身をゆだねるドウダンツツジ。
隣に立って細い腕のうぶ毛を自慢するシャラの木。
それを見下ろすように立つ紅梅。
それぞれが加わって陽だまりは更に暖かな空間となった。
 
少し離れて紫陽花が芽吹き、葉脈を見せている。
水仙も陽光の中で勢いづいている。
鉢植えの柘榴は昨秋の実がまだ色を失わず
その隣で一昨秋の実が枯れた味を出している。
すぐ傍の新芽はそれが見えているのかいないのか。
 
陽だまりも油断がならない。
少し弱まったかなと思う間もなく
山の稜線の向こうに姿を消してしまう。

  
   
inserted by FC2 system