紅山紫陽花 (クレナイヤマアジサイ)の表情
  
一夜の風で散り落ちてしまった桜を潔いと苦し紛れに愛でた春から
 
何日、何ヶ月過ぎたのだろう。紫陽花が咲きそろっている。
 
急ぎの用事で出かけるのが一週間遅れても紫陽花なら大丈夫。
 
外国種が美しくはあっても、梅雨時の空間を趣のあるものにしてくれるのは
 
やはり日本自生種。
 
紅山紫陽花は、陽に当たるほどに紅色を増していく。
 
その表情は、芽生えた恋心に戸惑い、恥らう少女の表情から、
 
優艶から妖艶へと変わっていく。

 
どれが好きと言っても波風が立ちそうな。
   
  
  
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