友が、 時夫に見せたいと心から望んでいた夕陽ではなかったようだが、 友のその思いは、 時夫の胸には十分すぎるほどに届いていた。 友の一度は沈んだ夕日が、 いつの日かまた違った光を降り注いで昇ることを、 時夫は祈った。 そして、 今日は家にいる、紀子のことを想った。