これが わたしの 生き方 (Part 2)

       

 私が何代目にあたるのか
 母に確かめることが
 できなかったわ

 

 2軒の敷地の境界で
 春が来たから笑顔を作り
 なんとなくしっくりいっていない
 ように見える両家の仲を
 取り持っています。
 

 母に言われた通り
 小さい体で
 精一杯。

 勿論、
 私の子供にも
 伝えるつもりよ。

 俺は
 知らなかった。
 自分の姿が
 どういうことになっているのか。
 あの日
 近くの小学校から
 集団下校する子供たちに
 馬鹿にされるまでは。

 温和なつもりの俺だが
 これを知らされた時には
 怒りのもっていきように
 本当に困った。
 
 あの時の小学生の一人が
 朝の通勤の度に
 「かわいそうね」
 と
 イングリット・バーグマンに
 似た瞳で
 声を掛けてくれるのが
 今の俺の生きがいだ。

 

 大通り側の
 コンクリート・ブロックの方に
 しようかとも思ったのだけれど。

 でも、こっちにしたわ。
 建物とコーディネートした
 こっちのレンガの方が
 なんとなく落ち着くもの。

 おなじ仲間だけにしよう
 と思ったのに
 邪魔がはいっちゃった。
 
 まー、いいかっ。

 ゴルフのクラブハウスの
 玄関にいた頃は
 本当に地獄だった。

 今は家主が
 お役目ごめんになったので
 クラブのオーナーの畑で
 のんびりと 
 春の陽を浴びている。

 踏まれる心配はないのだから
 もっとのびのびやっていいのに、
 くやしーけど
 習性はなかなか
 修正できなくて。
 法律を作る連中は
 美観なんか考えていないんだよ。
 それを電柱の君は
 分かってないっ


 君だけじゃー済まないだろう、
 と思ったら
 案の定だ。
 君だってそんなに
 がんじがらめになろうとは
 思わなかったろう?

 夜通し街灯が照らすものだから
 私の体内時計も
 狂っちゃったじゃないかー。
 この上の道路わきから
 雨の日に流されそうになった

 とっさにTVのCMが
 頭をかすめた。

 だが 
 「・・・・・いっぱーつ」
 という声は聞こえなかった。
 
 少し足場は悪いけれど
 上からも
 下からも
 人の手が届かなくて
 余計な心配はしなくて済むから
 私の生き方に
 向いているのかも
 しれない。
 
 負け惜しみじゃないけど
 最近はそう
 思うようになった。
 本当に。
 君は顔を出すな,
 と言ったじゃないか。

 私の方が
 先にいっちゃうんだ。
 その後
 どうする積もりなんだ、
 こんなところで。
 

 まさか、
 君は・・・。

 

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