カタバミ

紀夫の自宅の石段脇の土に鉢から下ろしたピンクのカタバミは、一年毎に株が膨らみ、今年はもう直径が30センチを越えている。

小さくシンプルな花は、引っ込み思案の少女が集団の中に隠れているように見える。

今年、散歩の途中の花屋の店先で白いカタバミを偶然見つけ、迷うことなく買い求めた。

よく見ると、小さな一輪ではあるが、バラと恋の鞘当てをする力は十分に持ち合わせているように紀夫には思えた。

          


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