公園で今日
あなたにお会いしました。
心持軽くなったような梢を
菊の香りを包んだ風が揺るがせていました。
公園のベンチの背もたれに
あなたは身をまかせて。
懐かしいあなたの鼻筋は
木漏れ日に輝いて。
手にした本は
あの詩集に違いありません。
私はあなたしか見えない女学生
あなたの前に立ち
「お待ちどう。」
声を出す前に
あなたは私を見上げ
私など見えないように
首を振りながら立ち去っていきました。
わたしは言葉を飲み
風に乱れた白い髪を
耳のうしろにかき上げて
あなたの背中を見送るばかり。
わたしは今日
あなたに公園でお会いしましたよ。
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