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生まれ育った家の裏庭には
太く背の高い石榴の木が
三本あった。
秋も暮れて、黄色くなった小さい葉が
パラパラと散り落ちて裸木になると
堅い外皮を内から押し破り
赤い小粒の実を覗かせた。
竹竿で枝を折る。
力の入れ方に注意して、
そーっと割る。
どうしても数粒が割れて
指を赤く染めてしまう。
石垣を崩すように
薄皮の赤い小粒を
親指でいくつもはずして
手のひら一杯にして
ポンと口に頬張る。
小粒が割れて
爽やかな甘みが
口の中に広がる。
晩秋の甘い想い出。
南米産の石榴を一個
買ってきた。
年が明けたら
割ってみよう。
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