梅雨が明けた。
カメラを持って川沿いの散歩に出た。
日は傾いたが夏の日差しは強く、ゆっくり歩いても背中に汗が流れた。
複雑な流れの雲を暫く眺めているうちに西の空は暗くなり始めた。
生い茂った雑草の帯の奥で桔梗が揺れていた。
子どもの頃、風船のような蕾を指でつまんで割ったものだ。ホタルブクロのように。
ホタルブクロはなんの躊躇も無く割ることができたが、桔梗は違っていた。
何が違っていたのか定かではないが、子どもの頃見た桔梗は
祖父が丹精こめていた庭に咲いていたからかもしれない。
あるいは、その気品が子供心にも分かり、気後れしたのかもしれない。
花言葉は、「清楚、気品」だという。
この一枚を撮りながら、
朝露を纏った桔梗より、夕影の桔梗のほうが何故かいいと思った。
昔の人も歌にしていたのを後になって知った。
「朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけれ」
(朝顔=桔梗) 万葉集
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