ラミウム

茂男が子供の頃、家ではうさぎを飼っていた。春になり、学校から帰ると、ウサギの子数匹を籠に入れて、友達と畑へ行った。

柔らかい草の生えている場所を大きめの石で囲い、子ウサギを遊ばせた。子ウサギの小さい口に、春の草が少しずつ消えていくのを腹ばいになって見ていたものだ。

そういう場所にはいつも紅紫色のホトケノザが咲いていた。

今年はラミウムを一鉢買った。ホトケノザ(も学名がラミウムだが)よりちょっと小さめの葉。その紅紫色の花を見つめていると、はるか向こうに、子ウサギの目が見えてくる。

          


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