赤紫蘇。
青梅の塩漬けに赤紫蘇で色をつける。
梅を食べ終わったら赤紫蘇をとりだして日干しにし
揉んで粉にして食卓に出す。
これが「ゆかり」と呼ばれているのを
後年店先で知った。
赤紫蘇の使い方といったら
母親がやっていたこういう使い方くらいしかないものと
思っていた。
梅雨も終わりに近く夏の気配。
パソコンを離れて居間に降り
新聞を開く。
妻が手作りの紫蘇ジュースの入ったグラスを二つ
テーブルに置いた。
甘く、酸っぱく、爽やか。
口の中に風が流れた。
この風はどこかで頬に感じた風。
懐かしさを包んだ風。
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