今日の一枚
		遠い、遠い 想い出
		母の実家からの帰り道 父の引く自転車に取り付けられた座椅子に 私は座っていた。 妹は多分母の背中にあっただろう。 帰り道は月明かりが頼りだった。 土手の坂道を登り切ったところで 河原に架かっていた一本橋が流されていることを 父も母も認めざるを得なかった。 二人が回り道を相談しているところまでは 鮮明に覚えている。 先日、約７０年ぶりにその場所に立った。 立派なコンクリートの橋がそこにはあった。 　　 父母は勿論、妹までもが既に他界し、 あの夜のシーンは、ますます忘れがたいものになっている。 この忘れがたい河原、 「花のショートストーリー」の「待宵草」に登場する。
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